ここ愛しやの郷「潟上市商工会」では、
12月5日(土)~6日(日)の1泊2日の行程で経営革新塾~儲かる企業支援塾~での受講生を対象に、
「先進地視察研修」を実施しました。
この研修の目的は、
① 県内で経営革新に積極的な企業を視察し、自社の革新に向けた取り組みの動機付けとする。
② 経営革新塾で策定したビジネスプランのブラッシュのためのヒントを得る。
③ 積極的な企業を視察することで、計画の具現化に向けた確信を図る。
④ 老舗・伝統産業を違った視点で見聞きすることで、
 自社の経営体質改善(5S、工程見直し、コンセプト再構築)に役立てる。
等々です。
視察先は、平成20年に経営革新の承認を得た、稲庭うどんでは老舗でかつリーディングカンパニー
「有限会社佐藤養助商店様」と、
平成17年の経営革新の承認を得た、伝統地場産業川連漆器製造業の「合資会社佐藤商事様」です。
視察研修の1日目。午前中に潟上を出発した視察一行は、
途中、今回同行いただく、儲かる企業支援塾のメイン講師「㈱キャラウィット」の代表取締役で
中小企業診断士の上岡実弥子先生を秋田空港までお迎えし、一路湯沢の地へ南下しました。
最初の視察先である「㈲佐藤養助商店様」総本店にお伺いしました。
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当社は、創業が万延元年(1860年)。来年で150周年を迎える、老舗企業です。
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当社の伝統を支えてきた根幹をなすと思われるのが、なんといってもその『技術力』。
一子相伝・門外不出に代表される当社のうどんづくりの技は、
現在は社会にも公開し、国内はもとより海外からもこよなく愛される逸品になっています。
一つのうどんができるまでには、
練る → 小巻 → 綯う → つぶし → 乾燥 → 選別
という工程を経て生み出されます。
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当社の視察では、まずはガラス越しに製造工程を拝見できる「工場見学」から始まりました。
この工程は、「練り」の工程を終え、乾燥に配慮し熟成を待つ工程です。
職人の手で丹精を込めて練られた小麦粉は、空気を含み熟成されます。
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私たちも、この空気を含んだ生地を触らせていただくことができました。
説明では耳たぶほどの硬さとお聞きし、触ってみるとその柔らかさに一同驚きです。
赤ちゃんのほっぺを触っているような、なんとも心地のよい感触です。
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続いて工程は、「綯う」を行い、そして「つぶし」の工程に入ります。
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残念ながら綯う工程は既に終えており、拝見できませんでしたが、
つぶしの工程を拝見することができました。
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工場を拝見して感じるのは、行き届いた「整理・整頓」。きれいな工場です。
安全・安心を求められる食品製造業にあって、
これほどまでに行き届いたきれいな空間を見ることができたことは、
参加者にとっても自社の現場改善に役立つヒントがあったものと思います。
さて、工程は「延ばし」工程に入ります。
プロの技に、はじめてみる参加者は目をきらきらさせます。
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延ばされた麺は、その後乾燥工程に入り、乾麺になっていきます。
当社にとって、乾燥度は製品化に当たって非常に重要なキーワード。
その日の天候予測から始まり、空調調整など、最終の判断は人間の経験による『知』です。
ここにも、150年の歴史が支えるノウハウが潜んでいることは間違いないでしょう。
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乾燥工程を無事終えた麺たちは、裁断され商品化を待ちます。
でも、裁断されてそのまま商品となっていくのではありません。
そこには、お客様にご満足いただける商品となるよう「選別」の工程が入ります。
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麺の一本一本丁寧に、太さや長さ、汚れがないかチェックされ選別されます。
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標準的なもの、太目のもの、短いもの等に分類され選別し、それぞれの商品化に入ります。
気の遠くなるようなこの作業。万一、二日酔いや体調がすぐれないときは自己申告が原則。
よい商品づくりのためには、職人一人ひとりが体調管理をし、
できないときには無理をせず、仲間や次工程に迷惑をかけるようなことは避けなければなりません。
まさに、「次工程はお客様」の視点ですね。
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そのようにして商品は完成します。
練りの段階から職人の粋で育てられた佐藤養助の稲庭うどんは、
その一本一本に気泡の穴が入っています。
この空気穴が、佐藤養助の稲庭うどんの美味しさの証拠です。
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工場見学を終えた一行は、昼食をいただきました。
本日のご昼食は「天ぷらうどん」です。
のど越しのよいうどん。誰もが認める逸品です。もちろん天ぷらも絶品でした。
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工場見学で学んだ稲庭うどんのノウハウを、
当社のご協力を得て「製造体験」をさせていただきました。
まずは、これから参加者が取り組む内容をご説明いただきます。
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はじめに、「綯う」体験。
職人さんにお手本を見せていただきながら、素人の私たちはたどたどしく取り組ます。
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一部の参加者は、初めてとは思えないくらいにきれいな仕上がりになる人も…
一方で大変なことになる人もいたりもします。。。
ここで、企画側として参加者に感じていただきたかったのは「現場力」。
現場が企業経営の出発点とすれば、参加者の企業でも現場改善がよい製品(商品)づくりの出発点になるはず。
5Sや工程改善、QC活動等々、日頃から現場改善に努めることを忘れてはなりません。
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次に経験したのが「つぶし」工程。
職人さんに手本を見せていただきますが、やはりきれいで早い仕事さばきです。
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参加者も指導された通りやろうとしますが、、、なかなかうまくいきません。
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そして、「延ばし」の工程です。
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延ばす途中で、切れてしまうのでは?と恐る恐るの作業。
以外にも切れずに伸びるのには不思議な感じもありました。
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製造体験も無事終わり、続いては調理体験もさせていただきました。
ご説明いただくのは、当社の総料理長「茂木 博 様」。
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佐藤養助の稲庭うどんをいただくとき、いつも感心する「盛り方」の妙技。
まるで「綱」のような盛り込み方はまさに佐藤養助のうどんの見せ場。
製造過程でも数多くのノウハウがありましたが、提供の仕方の面でも伝統のノウハウを感じます。
人差し指に取りまとめた麺を、
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上手に器に盛り込みます。
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そして、こちらが当社の社長「佐藤正明 様」です。
ここまで目で見てきた「有限会社佐藤養助商店様」を、
伝統に裏打ちされた今の佐藤養助商店の取り組みや、
社長様の経営ビジョンなどについてお話しをお聞きすることができました。
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当社は現在従業員が250名。七代目が昭和56年に法人化し現在に至る。
それまでの佐藤養助商店では、一子相伝・門外不出に代表されるように、
家内工業的な仕事を続けてきたものが、当時の地域の社会情勢の特徴として「出稼ぎ問題」があったことから、
七代目は企業貢献という視点もあり従業員雇用を進めるようした。
その結果、一子相伝から家内工業へ、そして地場産業化へと進んでいき、
現在の経営スタイルとなっているとのこと。
そういう意味で、稲庭うどんがここまでメジャーになったのもここ20年程度の間ということも
できるかもしれません。
現社長「佐藤正明様」が経営に携わるにあたり、大切にしているキーワードが「ブランド力」と「商品力」。
長い歴史の中で育まれた「佐藤養助の稲庭うどん」のブランド力を、
うまく発信することで強い商品に育てていきたいと考えており、。
その点からも、特にプロモーション戦略には積極的に取り組んでいます。
例えば、秋田のプロラグビーチーム「秋田ノーザンブレッズ」へのスポンサー提供などのほか、
社長ブログ「いなにわブログ」の発信で積極的に展開しています。
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そして、研修も2日目。
今日は、昭和41年創業の伝統地場産業「川連漆器」の製造企業、
「合資会社佐藤商事様」を訪問します。
はじめにご案内いただいたのが、「川連漆器」の真髄を体感できる、
「川連漆器伝統工芸館」にお邪魔しました。
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ここでは、伝統800年の永きに渡り歴史と伝統を持ち、
現在に受け継がれている川連漆器の匠のすべてを見て、手に触ることができます。
館内を懇切丁寧にご説明いただけます。
ご説明の節々から感じ取れる伝統に裏打ちされた職人の匠の技には感心するばかり。
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漆器の工程は多様にわたります。
裁断→荒挽き→乾燥→仕上げ挽き→指物本地→下地→中塗り→本塗り→蒔絵・沈金
と進む、数多くの職人の技(匠)を経て製品が出来上がります。
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気の遠くなうような長い工程を経て、渋い輝きを放つ川連の漆器は誕生するのです。
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館内では、職人の技を間近で見ることもできました。
他の地域の漆器は「押して」デザインを掘るのに対して、
ここ川連の漆器は「引いて」デザインを彫る点が違います。
そのほかにも、材料の挽き方も他の地域とは違うのが特徴。
同じ漆器でも、地域地域の特徴があることが伝統が息づく根っこなのかもしれません。
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彫った跡に金箔を貼り、それをはがすと金色のデザインが浮かび上がってきます。
手作業でデザインされた姿は、まさに匠の技としか言いようがありません。
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続いてお邪魔したのが、今回の視察先「合資会社佐藤商事様」
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当社の専務「佐藤慶太 様」より、当社の経営革新への取り組みをお聞きします。
高齢者や身障者へも優しいデザインの開発や、
キャラクター商品開発など、これまでの漆器では取り組んでいない分野への挑戦を続けています。
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私が想像するに、そのような当社の新たな取り組みを後押ししている一つの理由に、
色付けのバリエーションを広範にした点があるように感じます。
従来は、どちらかというと「黒」「赤」を中心に製品化されていた感のある漆器に、
ピンクや青、緑、白といった配色に挑戦されたことで、
汎用な商品開発に結びついているのではないでしょうか。
既成概念を崩すことが経営革新への一歩かもしれません。
これをパラダイムシフトとも言えそうです。
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当社の先駆的な取り組みから生まれた新商品を手にとって確かめる参加者。
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今回の研修行程を通じて、2つの県内企業からたくさんのことが学ぶことができました。
経営革新とは何か、厳しい経済情勢の中でも生き抜くには、
現状に満足することのない飽くなき挑戦、そして後継者を育成すること大切さ。
今回の研修成果をひと言でまとめるとすれば、やはり【経営者のビジョン】ということで締めくくられると感じます。
今回の研修成果は、今後参加企業個々での取り組みに活かされ、
新たな商売に結びつくことでしょう。
そして、儲かる企業支援塾の最終目的「利益を生み出し続けることのできる経営体質への改善」が
実現する日を信じて、商工会としても一層支援を強化してまいります。
最後に今回の視察の模様を佐藤養助商店様の「いなにわブログ」でもご紹介をいただきました。
改めてありがとうございます。
【今回お邪魔した視察先企業のHPご案内】
佐藤養助商店様:http://www.sato-yoske.co.jp/
佐藤養助社長ブログ:http://www.sato-yoske.co.jp/cgi-local/diarypro/diary.cgi
佐藤商事様:http://www.sikki.com/top_flame.htm
秋田県潟上市商工会HP:http://shoko.skr-akita.or.jp/town-katagami/